協会の理念

お子さんをお持ちのみなさんにお尋ねします。子育ては、親になれば自然にできるものとお考えではありませんでしたか。そして、実際に親になり、子育てをしてみて難しいと感じられたことはありませんか?家庭教育推進協会は、親になれば自然にできると考える子育てではなく、親も親になるための知識や学習が必要であるという観点から、学ぶ子育てを推進していきたいと考えています。子どもたちの手本となるような親の姿勢とは、子どもたちが伸び伸びと育つためには必要なものとは、といった子育てに関する様々な疑問や悩みを家庭で解決していただけるよういろいろな情報をここから発信していきたいと考えています。

家族療法について

カウンセリングの歴史

そもそもカウンセリングは20世紀のはじめにアメリカで心理学の理論と療法の発展のなかで誕生しました。その起こりは職業指導、心理測定、精神衛生が基となっています。高校卒業生の適性に合わせた就職指導(キャリアカウンセリング)がそもそもの始まりだったのです。そこから産業カウンセラーにも関心がもたれるようになりました。  その後、戦争を逃れてアメリカにやってきた優秀な精神分析家たちの影響で、アメリカでは精神分析が隆盛期を迎えました。1940年代に入るとカール・ロジャーズによる来談者中心療法の確立によってカウンセリングは新しい展開を迎えました。その頃に、精神分析的アプローチに対する3つのアンチテーゼが提出されました。第一は、カール・ロジャースの来談者中心療法。第二が、行動療法。第三が家族療法でした。現在では、カウンセリング(来談者中心療法)、精神分析療法、交流分析、行動療法、認知行動療法、自律訓練法、家族療法、ゲシュタルト療法、フォーカシング、NLP、POP、ブリーフセラピーなどカウンセリングで行われている心理療法も200を超えるようになってきています。

家族療法とは

家族療法とは、問題を個人だけのものと捉えるのではなく、家族全体の問題と捉え、家族全体の力で問題解決していくことを援助するための心理療法です。ですから家族療法では 家族をお互いが影響を与える一つのシステムとして考えます。そのため、家族の一員に問題が発生した場合は、個人単一ではなく、家族というシステムの中に生じた悪循環が問題の原因ではないかと考え、システムのあり方を、問題が解消する方向に調整することで、解決しようと考えていきます。家族療法は、家族を一つのシステムとして捉えることからシステムズアプローチと言ったりもします。

例 子どもが学校に行くことを渋ったとき、子どもが行きたくないというから悪いと考えるのでなく夫婦のギクシャクした関係が子どもを不安定にさせているのではないか、子どもの育て方の意見の相違が影響を与えているのではないか、過保護に育ててしまったことで親から離れられないのではないか、など家族の関係性、関連性の問題として捉える。

家族療法士(家族療法のカウンセラー、ファミリーセラピスト)のアプローチ

家族療法士は、悪循環に陥ってしまった家族のシステムに一時的に参加し、新たな関係性やパターンを作り出し、家族に変化を起こそうとすることを目的とします。家族療法のカウンセリングでは基本的に、家族全体を対象とします。ただ、問題の対象者がカウンセリングに訪れない場合も少なからずあります。来談者中心療法(一般的に行われているカウンセリング)では、問題は本人の中にあると捉えるため、本人がカウンセリングに訪れることが前提となります。しかし、家族療法では、家族を全体のシステムとして捉えるため家族の一員の小さな変化がシステムの中に変化を加え、大きな変化となり悪循環をいい循環に変える可能性があります。

直接的アプローチ 例

学校に行きたくないと渋っている子どものいる家庭に対し、家族療法士、子ども、母親、父親の4人で話をする。家族療法士が間に入ることで、子どもは、父親と母親がいつもケンカしているのを見るのが嫌だ、悲しいと言いにくかったことを伝える。父親、母親は、その子どもの姿を見て、自分たちの影響を感じ夫婦間の関係を見直す。父親と母親のケンカがなくなることで、子どもも精神的に落ち着き、学校に行きたくないと渋ることがなくなる。

間接的アプローチ 例

学校に行きたくないと渋っている子どものいる家庭に対し、家族療法士、両親でカウンセリングを行う。カウンセリングを進めていくうちに、親の過保護が影響で子どもが母親から離れられないことがわかる。両親で指摘し合いながら母子分離を進めていくことで、子どもの母親に対する依存心は少なくなる。自発性も芽生え、学校生活でのストレスも軽減し、学校に行きたくないと渋ることがなくなる。


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