近年、「非認知能力」という言葉が注目されています。

テストの点数では測れない、

・自己肯定感
・やり抜く力
・感情コントロール
・コミュニケーション力
・レジリエンス(立ち直る力)

といった、生きる力の土台です。

しかし実際、不登校の相談現場では、こんな声をよく耳にします。

「非認知能力ってどうやって鍛えるんですか?」
「気持ちに寄り添うだけで本当に力がつきますか?」
「甘やかしとの違いがわかりません」

なぜ、非認知能力の鍛え方は親御さんにとって難しく感じられるのでしょうか。

不登校支援の現場から、非認知能力や感情教育について考えました。

非認知能力の鍛え方が難しく感じる理由


親世代は《結果重視》で育ってきたから

今子育てをしている世代の多くは、

・努力や我慢が評価される
・成果がすべて
・感情より行動を正す

という教育環境で育ちました。

つまり、「どう感じたか」より「どうできたか」を重視する文化です。

そのため、非認知能力=感情や内面を育てる力と聞いても、具体像がつかみにくいのです。

実はこれは自然なことです。

学ぶ機会が少なかっただけなのです。


非認知能力は「教えるもの」ではなく「育つもの」だから

ここが大きなポイントです。

従来の教育は、「正解を教える」スタイルでした。

しかし非認知能力は、「自分の内側から育つ力」です。

行動経済学の研究でも、人は自律的に選択したときに最も持続的な行動変化が起こるとされています(自己決定理論)。

つまり、正しいアドバイスよりも「自分で考えた」という体験の方が、非認知能力は伸びるのです。


非認知能力の鍛え方【家庭でできる実践編】


【非認知能力の鍛え方①】感情に名前をつける

非認知能力の土台は感情認識力です。

感情を整理する声掛けの例
  • 「悔しかったね」
  • 「ちょっと不安だったのかな?」
  • 「本当は楽しみにしてたんだよね」など

感情を言語化してもらえた子どもは、
将来的にストレス耐性が高くなることが研究で示されています。

✔ 解決しない
✔ 評価しない
✔ まず受け止める

これが基本です。


【非認知能力の鍛え方②】気持ちは受け止め、行動は分けて考える

「怒るのはダメ!」ではなく、

「怒りたくなるよね。でも叩くのは違うね」

このように、感情と行動を分ける関わりが、自己コントロール力を育てます。

これは将来の衝動抑制力にも直結します。


【非認知能力の鍛え方③】失敗体験を奪わない

非認知能力の鍛え方で最も重要なのは、小さな失敗を経験させることです。

ある高校生のケースをご紹介します。

小学生の頃から環境が変わるたびに不登校になり、「またダメだった」と自信を失っていました。

訪問カウンセリングでは気持ちを話せるのに、家では言えない状態。

背景には、

「こうした方がいいんじゃない?」
「それはこういう意味でしょ?」

という先回りの声かけが多かったことがありました。

ご家族にお願いしたのは、

✔ まず聞く
✔ アドバイスは後
✔ 本人の言葉を待つ

という姿勢です。

すると少しずつ自分から話し始め、アルバイトにも挑戦できるようになりました。

今では親子で旅行に行ける関係に変化しています。

非認知能力は、「正しい言葉」ではなく、安心して感情を出せる環境で育ちます。


【非認知能力の鍛え方④】親が自分の感情を言葉にする

「ママちょっと疲れてるな」
「今日はイライラしてるから少し休むね」

親が感情を見せることはマイナスではありません。

社会的学習理論では、子どもは説明よりも観察から学ぶとされています。

感情の扱い方を、背中で教えるのです。


【非認知能力の鍛え方⑤】毎日の小さな習慣

非認知能力の鍛え方は、特別な教材よりも習慣です。

寝る前に、「今日うれしかったこと」「今日ちょっと嫌だったこと」を一言共有する。

これだけで

✔ 感情表現力
✔ 自己理解力
✔ 親子の信頼関係

が積み重なっていきます。


非認知能力は遠回りに見える最短ルート

非認知能力はすぐに数値で見えません。

でも、

・折れにくい心
・人とつながる力
・挑戦する勇気

はすべてここから生まれます。

そして、非認知能力を育むうえで、家庭での感情教育は非常に重要です。

感情教育は、特別な技術ではありません。

完璧な声かけも必要ありません。

まずは、「この子は今、どんな気持ちだろう?」と考えることから始まります。

親が感情を学び直すことは、決して遅くありません。

それは、子どもだけでなく、親自身の人生も豊かにしていくものです。