不登校が続くと、保護者の方からよく聞かれるご相談があります。
「このまま学校に戻していいのでしょうか」
「フリースクールを探した方がいいのでしょうか」
「別室登校や通信制も考えた方がいいのでしょうか」
お子さんが学校に行けなくなると、保護者の方はどうしても先のことが不安になります。
このまま家にいて大丈夫なのか。
本人の気持ちを尊重した方がいいのか。
それとも、少しずつ外に出るきっかけを作った方がいいのか。
頭では「焦ってはいけない」と分かっていても、毎日家にいる姿を見ていると、不安や迷いが大きくなるのは自然なことです。
近年は、フリースクール、教育支援センター、別室登校、オンライン学習、通信制高校など、学校以外の居場所や学び方も以前より知られるようになりました。
選択肢が増えること自体は、とても大切なことです。
しかしその一方で、選択肢が増えたからこそ、
「何を選べばいいのか分からない」
「子どもにとって本当に良い選択なのか分からない」
「学校に戻すことが正しいのか、戻さない方がいいのか迷う」
という悩みを抱える保護者の方も増えているように感じます。
今回は、フリースクール・別室登校・通信制などを考える前に、保護者の方に整理していただきたい視点についてお伝えします。
不登校の子どもは全国的に増えています

文部科学省の調査では、令和6年度の小・中学校における不登校児童生徒数は353,970人で、過去最多となっています。
不登校は、決して一部の家庭だけの問題ではなくなってきました。
そのような背景もあり、学校だけではなく、家庭、地域、民間施設、教育支援センターなど、子どもを支える場をどのように作っていくかが、社会的にも大きな課題になっています。

学校に行けない子どもが増えている中で、フリースクールや学校以外の居場所が注目されるようになったことは、自然な流れとも言えます。
フリースクールは、学校以外の大切な居場所の一つです

フリースクールは、一般的に、不登校の子どもに対して、学習活動、教育相談、体験活動などを行う民間施設とされています。
文部科学省の調査では、平成27年度時点で全国474の団体・施設が確認されています。
現在も、民間のフリースクールや居場所支援は広がっており、保護者の方にとっても以前より身近な選択肢になってきました。
フリースクールには、次のようなメリットがあります。
- 家庭以外の居場所ができる
- 家族以外の大人と関わる機会ができる
- 同じような経験をしている子と出会える
- 学校よりも本人のペースに合わせやすい
- 生活リズムを整えるきっかけになる
- 保護者も孤立しにくくなる
不登校が長くなると、子どもの生活範囲が家庭の中だけに限られてしまうことがあります。
家族以外の人と話す機会が減り、昼夜逆転が進み、外に出るきっかけも少なくなることがあります。
そのような時期に、学校ではない場所で、安心して過ごせる居場所ができることは、子どもにとって大きな支えになる場合があります。
「学校に行けないなら、家にいるしかない」という状態から、少し外とつながれるようになることは、とても大きな一歩です。
ただし、フリースクールがすべての子に合うわけではありません

一方で、フリースクールに行けば不登校が解決する、というわけではありません。
フリースクールは学校とは違い、運営方針、活動内容、学習支援の有無、費用、スタッフ体制、対象年齢、雰囲気などが施設によって大きく異なります。
少人数だから安心できる子もいれば、少人数だからこそ人間関係が濃く感じられて負担になる子もいます。
自由な雰囲気が合う子もいれば、自由すぎると何をしていいか分からなくなる子もいます。
また、フリースクールに通うことで在籍校の出席扱いになる場合もありますが、最終的には学校長の判断になります。
費用面でも、入会金や月謝、交通費などがかかるため、家庭の負担になることもあります。
だからこそ、フリースクールを選ぶときには、「通える場所があるか」だけではなく、「今のお子さんに合っているか」を丁寧に見る必要があります。
実際に見てきたケース

訪問カウンセリングの中でも、フリースクールを選んだけれど、うまく通えなかったケースを見てきました。
ある中学3年生の女の子は、中学校に行けなくなったあと、保護者の方がフリースクールを探されました。
本人は「騒がしいところが無理」と話していたため、保護者の方は、大人数ではなく、少人数で落ち着いて過ごせそうなフリースクールを探しました。
家からバスで通える距離でもあり、「家にずっといるよりは、少しでも外に出られる場所があった方がいい」という思いから、そのフリースクールに通うことになりました。
最初は2、3回参加することができました。
しかし、実際に通ってみると、そこにいる子どもたちは学校も年齢もバラバラでした。
本人にとっては、その輪の中に入ることが難しく、次第にフリースクールにも行けなくなってしまいました。
これは、フリースクールが悪かったという話ではありません。
保護者の方も、お子さんに合う場所を一生懸命探されていました。フリースクール側も、子どもたちの居場所を作ろうとされていたと思います。
それでも、本人の状態や苦手さ、対人関係の負担、集団の雰囲気が合わなければ、少人数であっても通うことが難しくなる場合があります。
「家から近い」
「少人数」
「学校より自由」
「不登校の子が通っている」
という条件だけでは、その子に合うかどうかは分かりません。
大切なのは、その子が今どの段階にいて、どのような関わりなら受け入れられるのかを見立てることです。
大切なのは「場所を変えること」だけではありません

不登校になると、保護者の方はどうしても、
「どこか行ける場所はないか」
「学校が無理ならフリースクールはどうか」
「別室登校なら行けるのではないか」
と、場所を探したくなります。
もちろん、場所を探すことは大切です。
ただ、それ以上に大切なのは、今のお子さんがどの段階にいるのかを整理することです。
今はしっかり休む時期なのか。
少しずつ外との関わりを戻す時期なのか。
まず生活リズムを整える時期なのか。
家族以外の大人とつながることが必要なのか。
学校の何が負担だったのかを整理する時期なのか。
この見立てがないまま場所だけを変えてしまうと、「せっかく探したのに、また行けなかった」という経験になってしまうことがあります。
その経験が重なると、本人も保護者もさらに自信をなくしてしまいます。
だからこそ、学校復帰を考える場合も、フリースクールを考える場合も、まずはお子さんの状態を整理することが大切です。
学校復帰か、フリースクールかの二択で考えすぎない

不登校支援では、
「学校に戻すべきか」
「フリースクールに行かせるべきか」
という二択で考えられがちです。
しかし、本当に大切なのは、どちらを選ぶかだけではありません。
その子が将来、自分の足で社会とつながっていくために、今どんな経験が必要なのかを考えることです。
学校に戻ることが、自立への大きな一歩になる子もいます。
まずはフリースクールや居場所支援から始めた方が良い子もいます。
別室登校や保健室登校を通して、少しずつ学校との距離を縮める方が合う子もいます。
中学生であれば、高校進学や通信制高校を見据えて、今できる準備を考える必要がある場合もあります。
大切なのは、「学校か、学校以外か」ではなく、「その子が自立に向かう道筋が見えているか」です。
保護者だけで判断しようとしなくても大丈夫です

お子さんの不登校が続くと、保護者の方は焦りや不安の中で判断を迫られることがあります。
「このまま家にいて大丈夫なのか」
「無理にでも外に出した方がいいのか」
「本人の気持ちを尊重しすぎると、長引くのではないか」
そう悩まれるのは自然なことです。
ただ、親子だけで考えていると、どうしても視野が狭くなったり、親の不安が先に立ってしまったりすることもあります。
そのような時は、子どもの状態、家庭での様子、学校との関係、今後の進路や自立までの道のりを、第三者と一緒に整理することが大切です。
家庭教育推進協会では、8月に家庭教育セミナー【大阪8/1(土)・東京8/8(土)】を開催予定です。
第1部では、
「うちの子は学校に戻していいのか?」
〜フリースクールなど、自立までの道のり〜
をテーマに、学校復帰、フリースクール、別室登校、通信制などを考える前に、保護者が整理しておきたい視点についてお話しします。
お子さんの今後の選択に迷われている方は、ぜひ一緒に考える機会にしていただければと思います。
※出典
文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」
